いわれなき
:
:
鋭く尖った叫び声に慌てて振り向くと、
背中合わせだった女性が
今まさに膝からバッサリと
崩れ落ちようとしていました.
咄嗟に右腕で上半身を支え、
そのまま頭を抱えるようにして
床へ横たえます.
それは無意識の成せる技であって、
もう一度、出来るかと言われれば
とても自信はありません.
ましてや、
その後の状況が判っていれば
果たして手を差し伸べたかどうか.
:
女性の顔は見る間に浅黒くなり、
口から泡が吹き出します.
手足の痙攣はどんどん酷くなり
全身へと波及してゆきました.
しかし頭を支えていた二の腕を
引き抜くことは出来ません.
頭を床に打ちつけてしまう気がしたのです.
せめて彼女が落ち着くまで・・・
否、そもそも治まるかどうかなど判る筈もなく、
ただただ動けなかったというのが
実情だったように思います.
:
やがて痙攣は治まり、
意識は戻らないものの、
ゆっくりと上下する
胸の動きを知ることが出来ました.
しかし皮肉なもので
その腕を水で洗い流したい衝動に駆られます.
この嫌悪感をなだめようと
何度もなんども腕を擦る自分がいるのです.
これで助かった、良かったという
安堵感を感じれば感じるほど、
死へ向う人の不気味さや怖さが、
どうしようもない嫌悪感として残りました.
もちろん、
あの女性が元気になって欲しいと願っています.
それは本当なんです.
:
:
:
:
7/4 カテゴリの変更に伴い
一部内容を変更しました
:
:
:





Comments
とんでもない場面に遭遇しましたね
ボクが碧サンなら同じ事が出来ただろうか・・・
ただおどおどして床に倒れるのを見てるだけ?
イヤ その場から逃げ出して行くかも
ボクも遠目で数回見た経験があります
見ただけなのに脳裏に焼きつきます
腕に抱えたのならなおさら・・・
時の流れが少しずつでも記憶を薄めて行ってくれるといいね
Posted by: imno1 | 07/02/2009 at 10:06
ほんと咄嗟の出来事で、その時はさっぱり自覚がありませんでした.
背後で叫んだ男性店員さん、駆けつけた警備員さん、
救急車の手配などなど、とてもスムーズだったように思います.
この嫌悪感を除けば何の問題もありません.
大袈裟かもしれませんが、
交通事故や悲惨な事件に巻き込まれてしまった方々の
精神的なダメージの大きさを、
ほんの少しだけ知ったように思います.
Posted by: 碧 | 07/02/2009 at 10:36
碧さん、大変でしたね。お気持ち、どうぞ大事になさって下さいね。
何の心の準備もないそのような状況下で、咄嗟の事とはいえ、支え続けて下さったとは・・・
しばし時間が経ち、嫌悪感を持たれる事、自然だと思います。碧さんは正直な方ですね。でも、ご自分を大事にしていて下さい。幾度もあるなんて、きっと、大丈夫なように碧さんを配置して下さったのでしょうね。・・・そう信じていたい・・・
新しいいのちを生かされ、日々励んでおりますが、嫌悪感を抱く事、多々あります。ラクしたい訳ではないのです。自分の時に、急変しないで!・・・懇願に似た気持ちです。未熟で無力な自分を見たくないのです。それでも、元気で働ける事に感謝して、いのちに寄り添い・・・また今日も、がんばってきます(^^)q
窓辺に注ぐやわらかな光が、波立つ心にも届き、優しく開かれ、うたれた傷が癒されますように・・・お祈りしています。
Posted by: み〜ひゃ | 07/02/2009 at 14:43
えっと、冒頭の部分の〝何度目だろう〟とは、
今回の事件で腕を気にする毎に繰り返される嫌悪感のことです.
ご心配をお掛けしたようで申し訳ありません.
もちろん至って元気です
お仕事、無理のありませんように.
未熟で無力な自分を受け入れるのは難儀ですが、
精一杯の気持ちは必ず伝わりますし、いつかは報われると思いますよ.
少なくとも僕はそう信じています.
Posted by: 碧 | 07/02/2009 at 15:35
こんにちは
実は昨夜見たんですが、コメントできなくて・・・
大変な経験をされてしまって、心の整理ができていないのですね。
でも、とっさの時にこの対応ができたと云うのは日頃の碧さんの生活態度がなせる業ですね。
いつも真摯な態度で生活されているんだと思います。
忘却ではなく、いつかこの経験が糧となる日が来ると思います。
すみません、表面的なことしか書けなくて・・・
Posted by: りんご亭 | 07/03/2009 at 14:30
医療や救急の現場で訓練された方々ならいざしらず、
やはり人が死にかけている?と感じた時の怖さ、
どうしようもない気味の悪さ、嫌悪感からは逃れられないようです.
助かってよかった!という安堵感とのギャップに戸惑いました.
その辺の事を記したかったのです.
とにかく、ほとほと情けない自分なんです.
Posted by: 碧 | 07/03/2009 at 20:40