vol,1 _ SR _

【あの空へ vol,1_ SR_】

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細く長い指が
薄いグレーのスモークが入ったシールドを掻き上げ、
流れるように帽体の表面をなぞり終えると、
まるで卵の殻がクルリと剥がれ落ちるように、
ヘルメットは首から抜け落ちた.

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37
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手櫛を入れる.
髪が長い.いつも同じ.まるで手品.
やっぱりあの頃と同じ.

燃料タンクにはお気に入りのグローブ.
まだそこに手が宿っているかのよう.

『好いバイクだな』

もう少しましな挨拶も出来る年齢に
なっている筈なんだけど.
いつだって上手くいかない.

『SRってこと』

そうアミはいつだってSR.
あの暴走まがいのツーリングで、
集散場所としてよく利用したこの場所.

レプリカ、スポーツタイプのバイク集団に混じって、
ひと際、異彩を放っていたSR.
走りはそこそこ?人気だってNo1.

そのアミが
遥か彼方の爆音に手を振る.
ヒロシとアキラ?学生時代の仲間.

『あのさ、カナも呼んだ?』
『迷った末に止めました』

千キロ彼方の彼女.
記憶を追いやるには足りない距離?

これがアミのやり方.
いつも手品みたい.

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つづく
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